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2007-03-06

[]障害者の経済学(10) 障害者の経済学(10) - モジモジ君の読書記録。みたいな。 を含むブックマーク

障害者の経済学

障害者の経済学

 類書がない、という意味での値打ちはあるのかもしれないが、しかし、読後感はとても微妙だった。『障害者の経済学』といわれたときに、僕はまったく別の話を想像する。たとえば、青い芝の会の誰かが言ったという、「オムツを交換するときに腰を持ち上げる、その努力がわれわれの労働なのだ」(大意)という言葉。この言葉が意味することは、労働という概念は産業主義的な文脈においてのみ理解されてはならないということ、(自分をも含めた)人間の生を支える営み全体を指す概念として再定義されるべきだということである。こうした概念の根底的な批判に沿った経済学なら、とても面白そうだ、と思う。

 が、しかし、本書は、こうした経済学批判、あるいはこの社会に充満する産業主義的価値観への批判を通じて経済学を再構築する、という本にはまったくなっていない。どこまでも、既にそこにある当たり前の経済通念に依拠したまま、障害者問題が語られている。『障害者の経済学』というよりも、『経済学における障害者』と言った方が適切かもしれない。早い段階で誰かが批判的に乗り越えるべき本。☆☆☆(2007/03/10)