aullyの読書日記 このページをアンテナに追加

2007-08-01人死にすぎ

[](033)『グラスホッパー20:00

まず人死に過ぎ。気分バリ下がり。

角川のブックカバーが欲しくて購入した本。

伊坂幸太郎の、軽快な文体・会話文が心地よい。あちこちに散りばめられた仕掛けがなんかお洒落だった。

妻の復讐のため非合法な商売をしている会社『令嬢』に入社した主人公鈴木は、妻の仇である会社社長の息子が突然車に轢かれて死んだのを『押された』からだという上司の女に言われて『押し屋』らしき男を追うハメになるところから始まる。また、それぞれ裏の道ながら別の人生を歩む「蝉(ナイフ使いの殺し屋若者)」と「鯨(自殺に追い込んで死なせる巨体の男)」の話が鈴木の巻き込まれる事件と絡み合っていく様子が描かれていく。

鈴木の脳裏で「やるしかないでしょ」と励ます妻とか、鯨を苛む自殺させてきた亡霊たちとか、蝉が見た映画雇用者に人形のように自由を与えられない若者とか、主人公たちは目に見えない力(それは即ち自らが生み出す幻影なのだろうけれど)に引き摺られ、翻弄される。愛情とか、罪悪感とか、そんな単純なものではないんだろうけど、幻が離れていかない(なぜならそれは幻は自分自身を映したものだからだからだろう)ことに困惑する主人公たちが幻想的かつ秩序立てられた世界の中で描かれているというのが印象的だった。

しかし人死に過ぎ。描写もグロいしー。次はグロくないのを選んで読みたいな。

グラスホッパー (角川文庫)

グラスホッパー (角川文庫)